ホーム > 市政報告 > リーマン問題

「坂本祐之輔市長に対する辞職勧告決議」

提案理由(全文)

昨年9月のリーマンブラザーズ証券の倒産に端を発した、東松山市社会福祉協議会の福祉基金1億円損失問題については、同協議会の調査によって厚生労働省通知に違反した社債の購入と管理にかかわる事務手続の不備や定款違反が判明し、既に同協議会において基金運用、管理に関する規約の見直し等が行われるに至りました。市民の財産である福祉基金1億円が失われたことは、極めて重大な問題です。しかし、それよりも重大な問題は、社協会長であった坂本祐之輔市長とその命を受けた竹森 郁特別理事による社協職員への責任転嫁のための文書改ざんや誓約書の強要等の画策が、同協議会幹部職員による内部告発によって明らかにされたことです。

この問題は、既にテレビ、新聞等のマスメディアで大きく報道され、現在、市民の間に市政に対する深刻な不信と混乱が生まれています。一連の調査によれば、内部告発の内容は市長及び特別理事等の自らの行動と言明によって明らかな事実であると認められるものです。これらの行為は、市長としての資格を厳しく問われる行為であり、解職請求に値する不正な行為であると考えます。坂本市長は、政治的混乱を行政に持ち込み、市政を著しくゆがめ、市民の信頼を失うことになりました。残念でなりません。

告発者は、特別理事が文書改ざんを指示していること、誓約書を要求したことを10月5日に坂本市長に報告しています。そこで市長は、「副市長に連絡し、特別理事と事務局の行動をとめるように指示したものでございます」と、12月3日の市長説明要旨の中で述べています。さらに、坂本市長は、同じ市長説明要旨の中で、「職員に責任を転嫁するために会長交代を要請したことや、文書の改ざんを指示したこと、誓約書の強要をしたことにつきましては、私は一切そのようなことはないと断言いたします」と、自らの関与を否定しました。

しかし、市議会調査委員会に提出された録音資料の中では、文書改ざんと誓約書の強要が拒否をした前事務局長に対して特別理事は秘書室応接室で、「つまり市長が1億円かぶったときに市長が吉田さんには2,000万円面倒見てくれと言ったとき、見れないということですよね。」、「自分の運命を左右することですよ、今この数分で」と迫り、「つまり市長としては改ざんという責任を背負ってまで何で責任を負わなきゃいけないんだと。今であればまだ間に合うでしょう。職員の事務的なミスなんだから、その分は見なさいよと。その結果、1億円負担するのであれば1回おれが肩がわりするけれど、しばらくたって、その職員に対して当然訴訟をするし、それで勝つんだろうと、おれは。そうおっしゃっているんです」と言って、市長の考えを代弁しています。「おれは」というのは、もちろん市長を指しています。このように、市長と市長の命を受けた特別理事の2人は、共同の認識を持っているのであり、共同の意思が働いていると認めざるを得ません。誓約書は、いわば市長にとって自分の賠償責任を職員に肩がわりさせる担保としての重要な意味を持つものであり、特別理事は市長を守るため、市長の命に従って忠実にそれを実行しているにすぎません。

さらにもう一つの問題があります。市長は10月5日の時点で告発者から直接、特別理事の不正を知らされながら、それ以後今に至るまで市長直属の特別理事として高度な事務の調整を命じてきたことになります。このような市長の職務行為は、市民には到底理解できないことであり、不正を行った特別理事と共同の責任が問われても仕方がありません。しかし幸いにして、市長と特別理事による、社協職員に責任を転嫁するための文書改ざんと誓約書の強要は、社協職員の強い拒否によって未遂に終わりました。

その後、市長と特別理事の共同による責任転嫁の画策の焦点は、社協の調査委員会に移りました。社協の調査委員会そのものが事実解明という大義とは別に、その報告書では職員のミスを指摘して意図的にその責任を職員の範囲にとどめ、職員の責任を重く描いています。また、調査委員会の報告書を受けた意見書の法的解釈に基づいて、賠償責任を職員の範囲にとどめる結果となりました。このことは、事務局長のところで爆弾を破裂させれば市長は助かると、内部告発の中で危惧されていたことでした。その結果、12月8日の社協理事会は、報告書を受けた市顧問弁護士の意見書に基づいて、会長の賠償責任を不問にし、前事務局長に4,000万円、2名の事務職員に計1,000万円の賠償を求める決定を下し、かつ前事務局長の背任罪の可能性まで持ち出しています。これによって、誓約書を強要しなくても、職員に過重な責任を負わせる結果を強引に引き出すことになりました。市長と特別理事の社協及び社協調査委員会への介入はこのように明らかです。

調査委員会に提出された資料と市長説明要旨との間には、深刻な矛盾があります。例えば12月3日の市長説明要旨で、市長は「事務局は、証券会社から社債が購入できるようになったとの情報提供があったからである、と説明していました。しかし、調査委員会の中で証券会社に事実を確認したところ、全くそのような事実はなく、逆に事務局の方が仕組み債を購入したいので、どのように資金運用規程を改正すればいいのかアドバイスしてほしいと要望したことが原因であることが判明しました」と述べています。

しかし、2005年12月22日の証券会社の面談記録でも、証券会社が社債の購入を提案していることが明らかであり、また昨年10月14日に市職員を含めて市長と特別理事が社協職員に対して行った事情聴取、リーマン社債購入にかかわる事実確認の中でも、特別理事の「日興コーディアル証券から、資金運用規程を改正して購入しないかという話があったのか」との質問に、社協の副主任が「そうです、公益法人などでも多くの運用があるからということで」と、市長の説明要旨とは全くあべこべに答えているではありませんか。

さらに不思議なことに、調査委員会の報告のどこにも社協職員が社債購入を証券会社に提案したという確認はできないのです。なぜ市長は、説明要旨の中で社債購入の事実関係をあべこべに描かなければならなかったのでしょうか。それは、社協職員の責任を実際より重く示そうとする意図があったのではないでしょうか。もしこれらの資料が極めて恣意的に利用されたとすれば、行政を預かるものとしての資格が厳しく問われる重大問題です。当然のことですが、私たちは告発内容を初めから無条件に正しいとする立場に立つものではありません。重要なことは、理事会を主催し、賠償責任を職員に押しつける決定を最終的に誘導した坂本会長及び特別理事の行為と、事実経過そのものが告発内容の正しさを証明しているということです。市議会調査委員会に提出された内部告発文書「リーマン社破綻後の経過について」、それと同時に提出された9月25日、10月3日、4日、6日の録音に記録された市長と特別理事の肉声とその反訳は、確かに重要な資料であり、事件の本質を私たちに示しているとはいえ、これらの資料は事実経過の一部を記録しているものにすぎません。重要なのは、9月16日から始まり、今日に至るまでの市長と特別理事の共同の意思に基づく責任転嫁の画策の全体像であり、それは市長と特別理事みずからの行動と言明によって明らかにされているものだということです。ほんの一部の都合のいい言葉によって、全体を否定することはできません。

さて、内部告発が明らかになるとともに、市長と特別理事の社協職員への責任転嫁のための文書改ざんと誓約書の強要等の事実は、テレビや新聞等で大きく報道され、社協の調査委員会の調査そのものも不十分性が指摘されることになりました。さらに報告書の指摘を無視して、第三者ではあり得ない市顧問弁護士が意見書を提出したことが問題視され、また11月28日に議会側が告発者に直接、告発資料を求め、広く公開されることに及び、12月12日の社協理事会では、12月8日に決定された社協職員への賠償請求はそのままにして、坂本市長が職員の負担を肩がわりすると表明するとともに、1億円損失の社会的責任を認め、みずから市長歳費50%カット12カ月の処分を発表し、あわせて社協会長も辞任することを表明しました。肩がわりすることは、10月3日の録音記録の中で市長の方針として特別理事によって語られており、それが実行されたにすぎません。しかも、この理事会では社協職員への賠償責任はそのままになっています。しかし、その後職員への過重な賠償責任の押しつけに反対する世論が強まり、2009年2月24日の社協理事会は弁護士3名による新たな意見書に基づいて、3人の職員に対し損害賠償請求をしない最終決定を下し、さらに坂本前会長の善管注意義務違反を認定したものの、前会長にも損害賠償の請求をしないことを決定しました。

社協理事会が、このように決定を二転三転させた事実経過そのものが市長と特別理事による職員への責任転嫁の不正な画策が政治的にも、社会的にも不当なものであったことを如実に示しています。翌25日の定例記者会見で、市長は内部告発によってリーマン購入問題はリーマン社債購入後の対応にすりかえられてしまったと内部告発者を非難しましたが、問題のすりかえなどという非難こそ問題のすりかえであり、リーマン破綻後の市長の対応こそ大問題なのです。自分の責任を棚上げにしようとする市長のこのような認識と態度こそ混乱を深めている要因であり、市長としての資格が改めて厳しく問われています。

坂本市長が、これらの事実を認め、政治的責任を重く受けとめるとともに、市民の不安を取り除き、行政への信頼を取り戻すために市長職をみずから辞することを求めます。

「坂本祐之輔市長に対する辞職勧告決議」(PDFファイル)